ここ最近SNS等のネット上で塩基性ヘアカラーを使ったヘアモデルの写真を度々見かけるようになった。
SNS上のハッシュタグにはグレーアッシュとかブルーアッシュとかアッシュベージュとか小学生の時に使っていた絵具とか色鉛筆には書かれてはいない、想像してもピンとこないような色の名前が沢山書かれている。
ヘアモデルの画像の説明の文章よりも、これらハッシュタグの方がズラズラとたくさん書かれているのにはちょっと笑ってしまう。
ブルーアッシュと言われたら頭の中でどの様な色を想像できるのでしょうか。
きっと人それぞれ違う色を想像すると思います。
ヘアモデルの写真を見ながらブルーアッシュと言われれば
「ああ、なるほど、こんな感じの色合いの事ね・・・・」
みたいな感じで理解できることだと思います。
なのでカウンセリングの時には見本となる画像が絶対にあったほうがいいということは今更言うまでもありません。
それでは本題の塩基性のヘアカラーについて書いていきます。
各メーカーから色々と用意はされていますが今回はシュワルツコフの塩基性ヘアカラー
「カラーワークス」を使ってみました。
先に塩基性ヘアカラーの特徴として大事なことがいくつかあるので説明していきます。
塩基性ヘアカラーはバージン毛、いわゆる健康毛にはほとんど染まらないという特徴があるので、ブリーチ毛や過去のアルカリカラー履歴のある毛髪にのみ、鮮やかな色が表現できるというヘアカラーです。
なので最低でもダブルプロセス以上の作業が必要となるカラーリングになります。
デザインの幅を広げるには最初のベースとなるアンダーカラーを作ることから始まります。
アンダーカラーを2色にするのか3色にするのか過去のカラーが残っていたら5色になったり、ベースカラーは十人十色で無限大になります。
ここで注意する点がいくつかあります。
ヘアカラーモデルの画像の多くに見られる特徴なんですが、バージン毛から作られたカラーデザインが多く紹介されているので、これらのデザインを挑戦してみたくても普段からカラーリングをしている人にはそれら過去のカラーもベースの一つになってしまう為に同じような色表現が困難になるということを理解していただかないといけません。
更にもう一つ注意する点があります。
退色です。
完成時の色と比較して3日後、1週間後、2週間後、みるみる色が薄くなっていきます。
また希望の色合いが完成時に出来るという保証もありません。
もしかしたら3日後に希望の色が出来上がるかもしれません。
4日後には「あれ?昨日の色が一番良かったかも、、、」
そういう特徴を持ったカラーです。
細かい部分にこだわる方にはお薦めしにくいヘアカラーです。
更にもう一つ注意する色があります。
希望色が「ブルー」
そう「青」です。
これが一番厄介な色と言えるでしょう。
もともと白髪であれば酸性カラー(ヘアマニキュア)のブルーを使えば簡単に表現できます。
もともと白髪の若者なんて日本人にはほとんど存在しません。
あくまでも日本人の黒髪からブルーを表現するにはハイブリーチを繰り返し行い限りなく白に脱色しないといけません。
ベースとなるアンダーカラーに少々の黄ばみが残ってもいけません。
黄ばみが残っていると完成時にはブルーではなく緑になってしまいます。
仮に完成時にブルーの表現が出来ても3日後には「何だか緑っぽくなっちゃった」っていうのは良くある話です。
たった数日間しか表現できないかもしれないブルーの為にハイブリーチを何回も行い、そして髪はボロボロになり、そこまで時間とお金をかけるところに実用性の無さを感じてしまいます。
ブルーは限られた一部の若者にしか出来ないヘアカラーでしょうね。
それがあたかも流行っているかのように錯覚してしまうのがSNSの魔術なのかもしれません。
ヘアモデルの画像では黒ベースに近いミディアムロングヘアの中にちらほらと見えるブルーの毛束。
キンキンの茶髪とは違いパッと見た感じ全体的にダークな印象の落ち着いたヘアカラーデザインなので「会社員だけど私も挑戦してみようかしら!」と思ってしまったらアウトです。
数日後には会社でこっぴどく叱られる可能性が大です。
そしてSNS等には施術料金が書かれていないケースがほとんどなので注意が必要です。
特にヘアモデルの場合はお店の宣伝ということもあり施術料金はヘアサロン持ちということもあるので、そこには注意が必要だ。
ホワイトブリーチをするのに何回のブリーチと時間とお金がかかるのでしょうか。
「まだ黄ばみが残っているのでもう一回ブリーチしますね」みたいな、、
一回のブリーチで○○○○円。それを×4とか×5とか想像しただけでも料金が、、、、恐ろしや
ヘアコンテストのその日一日だけブルーであればOKという場合を除いてはあまり実用性の無いカラーがブルーになるでしょう。
なのでブルーは極力お薦めしません。
一回のブリーチ程度のベース色に乗せても失敗しない暖色系か、寒色系の場合は灰色が実用レベルだと思います。
それでは実践に移ります。
まずはハイブリーチ。
今回はつむじから放射状に頭全体ぐるっと一周にホイルでハイブリーチします。
ホイルとホイルの間から髪の毛がこぼれていますが、これは過去のヘアカラーの髪の毛です。
この様な過去のカラー毛もベース色の一員であるということになります。
ある程度時間が経ちホイルを取った時の状態です。
シャンプー台で一度すすいでとかした状態です。
既にベースとなる色は何色混在しているのでしょうか。
過去のカラーも含めアンダーカラーはごちゃまぜ状態です。
このアンダーカラーに対して使うのはシュワルツコフのカラーワークス「モーヴ」です。
この色だけを見ていると「すみれ色」と表現すればいいのでしょうか。
どちらかと言えば青よりの紫でしょうか。
人によっては赤色寄りの紫にも見えるかもしれませんね。
この色が先ほどのごちゃまぜなアンダーカラーに塗ってあげるとどうなるのでしょうか、とても楽しみです。
アンダーカラーに白い毛束はどこにも存在していないので、この色見本の「すみれ色っぽさ」は絶対に表現できないと思われます。
まずはバックからです。
バックには「モーヴ」の原色をそのまま塗布しました。
左サイドは「モーヴ」と「クリア」を1:1で薄めました。
右サイドは更に「クリアで」薄めたものを塗布しました。
すなわち希望色に使った色は同じ「モーブ」であっても濃さの違う3種類を使っています。
放置時間が終了し、シャンプートリートメント後のウェット状態です。
とても鮮やかな色に染まっています
では乾かしてみましょう。
凄すぎです(笑)
上から見ると何となく色の濃さの違いが判ります。
後頭部に一番濃い原色を使用しているのがなんとなくわかります。
しかし使った色は青よりの紫なのに全然仕上がりは赤っぽいですね。
これは全てアンダートンが黄色であり茶色であり、いわゆる赤身の色素が残っているからこの様な仕上がりになるのです。
なので先ほど説明した様に、限りなく青に近い表現が欲しければベースカラーを白にしてしまえばいいということになります。
この写真の様に暖色系の仕上げであればワンブリーチのベース色で表現できるので比較的簡単に挑戦できるところがいいですよね。
今回は塩基性のヘアカラーの一部を紹介しましたが、この仕上がりの色であれば別に塩基性ヘアカラーでなくともアルカリカラーでも酸性カラーでも表現は可能です。
何を使えばいいの?塩基性カラー、アルカリカラー、酸性カラー?
結局答えは人それぞれ用途によって変わってくるので一概に「コレ」っとは言えないです。
いずれのカラー剤にも特徴があり長所短所があります。
担当の美容師とよく相談してからにしましょうね。
おしまい。
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